判じ物件



 ご覧のとおり,お寿司屋さんのカンバンであります。ここで目に付くのは,やはり右側の「すすすすや」でありますね。

 このサイトにおいでの皆さんであれば,これを何と読むかというのはすぐにわかるんではあるまいかと思われるんでした。
「す」がたくさんあるから複数形になって,「鈴屋(すずや)」でありますね。「はま寿し」という名前だけど鈴を売っていると。

 …すみません。ボケが強引でした。
 ということで,おそらく9割5分くらいの確からしさでこれは「すしや」と読んでもらいたいんだろうと思われるわけでした。

 名前が「はま寿し」なんだからわざわざ「すしや」と書かないでもいいような気もしますけれども,崩した「寿」が読めない若年層のために書いてあるんでありましょうか。その彼らに「すすすすや」が読めるかどうかは疑問でありますが。

「す」の背景が矢尻のような形をしているんで,本来は「や」も書かずに「す」を4つだけで「すしや」と読ませたかったのかもしれないでありますね。それだとあまりにもわかりにくいので「や」も付けることにしたのかどうか。

 しかしまぁ,街の片隅にさりげなくひょいとこんなカンバンがあるというのは,ちょっと粋ではあります。この「すすすす」は,江戸の判じ物なんかにもあったりするんでありましょうか。


 こちらは,アパートと思われる建物であります。そのアパートの名前がどうやら「サンハイム」らしいんでした。
 そして,上にはそのアルファベット表記が書かれていると思われるわけですけれども,それをよく見ると「San Haimu」なんでした。

 …いや,間違っているわけではないんですけれども。確かに「サンハイム」と書かれているわけですけれども。
 それでもやはり,ちょっと「えぇ?」と思ってしまうわけでした。

 まったくのローマ字というのはまぁ,開き直っているというか,いさぎよいと言えばいさぎよくて,ある意味すがすがしい気持ちすらするわけですけれども。しかし,たとえば「AI RABU YUU」と書かれたラブレターをもらった場合,返事を書こうと思うだろうかという気がするわけでした。
 まぁ,この「サンハイム」の場合には,よく見ないと気づかないくらいの差異かもしれませんが。

 しかし我々はこの「サンハイム」というアパート名を見たときに,太陽を表わす「サン」と家を表わすドイツ語だかなんだかの「ハイム」を連想してしまうわけですけれども,本当は違うのかもしれないでありますね。ぱっと見はアパート名だけれども,違う意味が判じ物のように隠されていたりするのかもしれないんでした。

「サンハイム」は実は「三羽医務」という医療関係の会社なのかもしれない。または医務三羽ガラスと呼ばれる凄腕看護士集団だったりするのかもしれない。

 あるいは「サンハイム」は実は「産廃無」という,産業廃棄物を根絶しようというエコ団体の拠点なのかもしれない。

 はたまた,「サンハイム」は実は「三は仏」であって,「仏の顔も三度」ということを表わしているのかもしれないんでした。アパート壁面に「仏の顔も三度」を書いてどうするのかという気もしますが。

「すすすす」は新潟市北区・三軒屋町あたり。
「San Haimu」は新潟市北区・三軒屋町あたり。