縁起物件

縁起物件



 最近は結婚式やらその2次会やらに招待されるなどということもほとんど無くなり,通夜やら葬式やらに顔を出さねばならないことの方が多くなってきていたりして,その辺で自らの年齢というのを感じてしまったりもするわけでした。

 結婚式に出たければ自分の分をやってしまうという飛び道具が私にはまだ残されているのだけれども,それは一人でできるもんでもないしな。むぅ。
 …まぁそれはともかく。

 上の物件は,某斎場駐車場のカンバンであります。ここで気になるのは,「4」の隣に記された「寿」でありますね。やはり,「4」は縁起が悪いから「寿」で相殺しようということなのか。

 それであれば,一般の駐車場でよく見られるように最初から「4」を外しておけばよさそうなものであります。しかし,見た感じこちらは会館自前の駐車場ではなくて,貸し駐車場を借り上げて使用しているようなので,勝手なことはできないのかもしれないんでした。
 ちなみに,駐車場内部では「4」は消え,完全に「寿」になっております。

 しかし,これを見ると「NO.寿」というのは最初から駐車場側で設定されている番号のようでありますね。会館側としてはむしろ「いやここには寿と書いてありますけれども,4番とお考え下さい。その方がわかりやすいですから」と,カンバンを通して言っているようであります。斎場としては,「4」を使うことに特に抵抗はないのか。まぁ,仕事が仕事だから,そんなことには頓着してられないのかもしれませんが。

 それに対して,駐車場経営者としては「4」というのはどうしても避けたい番号なんでありましょうか。車関係の仕事というのは,縁起をかつぎたいものなのか。
 観光バスなんかでも「4号車」を「寿号車」としたりすることが割とよくあるらしいですけれども。

 そういえば,「寿」という字は形がちょっと「4」に似ているかもしれない。そうでもないか。
 形で言えば「千」の方が「4」には似ているかもしれないけれども,「千号車」だと本当に千台バスが来ると思われそうだから,使えないのだろうなぁ。そういうことでもないか。

 しかし実際問題として,そこまでかたくなに「4」を拒否する人というのは多く存在するんでありましょうか。
 その人たちは,電車でも4号車は避けたりするのかどうか。
 それは避けられても,乗るべき電車が4番線から発車だったらその電車には乗らずに別のホームから出る電車を待つんでありましょうか。
 仮に次の電車が3番線発車だったからそれに乗ったとして,到着駅のホームが4番線だったことに気づいてしまったらどうするのか。アクション映画なみに,到着寸前の電車から飛び降りたりするんでありましょうか。

 4番を使うくらいなら死んだほうがマシだという,「健康のためなら命もいらぬ」的な本末転倒思考が生まれてしまいそうであります。

 上の写真に戻ると,このカンバンを作ったあとに9番10番の駐車スペースも使えることになったようで,手書きで番号が加えられているんでした。駐車場としても9番は特に気にはならないんでありましょうか。

 まぁ,4の「シ」に比べれば,9の「ク」ぐらいはどうってことないのかもしれませんが。9と10を合わせて苦汁をなめたり苦渋の選択をしたり苦闘を強いられたりしても,確かに「シ」と比べればマシだと思われるんでした。
 縁起をかつぐというのは,つまりはダジャレなのでありますね。カッコよく言えば言霊というやつなのかもしれませんけれども。

「4寿」は新潟市中央区・東堀通12あたり。