だもの物件
だもの物件
何があったのかは知りませんけれども,八百平商店さんが「八百平商店だもの」と,声を大にしてつぶやいているようなんでした。
ということではないと思いますけれども,これはもう,ベタと言えばあまりにベタな物件でありますね。
「くだもの」を売っているお店の前を通ったときに,「くだものだもの」というダジャレを考えたことのない日本人は1%に満たないという統計が出ているような気がしないでもないくらいのベタさであります。
それは「お出かけですか?」という声を聞いたときに,頭の中で「レレレのレ」と答えてしまうのと同じくらいのベタさでありましょうか。そうでもないか。
しかしながら,そういう想像を常日頃していても,実際にこのようにキレイな「だもの」を見かけるというのは,それほど多くあることではないような気がするんでした。そう都合よく「く」が消えてくれるものでもないだろうし。
パチンコ店の場合はネオンサインが多いので,「パ」とか「チ」が消えてしまうというのは比較的よく見られるような気もしますけれども。それほどでもないか。
そんなわけで意外とお目にかかれない「だもの」でありますけれども,今回の物件は特に大々的であって,あまりに大きすぎて普通の通行人は気づかないんではあるまいかと思えるほどの「だもの」なんでした。
相田某にも見せてあげたいくらいであります。
しかし,我々はこの「だもの」の元は「くだもの」であると考えてしまいがちなわけですけれども,はたしてそうなのか。
これもベタではありますが,店内には「けだもの」がたくさんいるのかもしれない。くだものを食べるつもりで店に入ると,ケダモノに食べられてしまうかもしれないんでした。
あるいは,秀でたところの全くない,凡庸な人たち「ただもの」を扱っているお店なのか。
昨今の企業ではタテマエとして個性的な人材を求めていますけれども,ホンネではヘタに個性的な人材よりも物わかりがよくて従順で没個性的な人材の方を求めるところが多いかも知れず,意外と「ただもの」の需要はあったりするのかもしれないでありますね。
それとも,何の役にも立たない「むだもの」を集めて好事家に売ったりしているのか。飛ばない飛行機とか。映らないテレビとか。
物品である「ムダ物」だけではなく,役に立たないことばかりしている人間「ムダ者」も売っているかもしれない。そうすると,路上観察者などは真っ先に捕らえられて,売られてしまいそうであります。もし私が店頭に並んでいるのを見かけたら,誰か買ってください。できればお金持ちで若くてキレイな女性希望。
いないか。そんな人は。
「だもの」は新潟市中央区・東堀通5あたり。