ナナメ物件

ナナメ物件



 住宅街の一角にあるお宅のブロック塀であります。まぁ,全体としては普通のブロック塀なわけですけれども,見ていてちょっと「?」となってしまうのがその中央部分なんでした。

 外周のおよそ2ブロック分ずつは普通に地面と平行に並んでいるにもかかわらず,中央あたりのおよそ6×6ブロック分は右上がりの斜めになっているんでありますね。見つめているとちょっとクラッとしそうであります。

 坂の途中にあるお宅のブロック塀なんかは地面と平行にしようとすると斜めになってしまうわけで,そういったブロック塀もまれに見かけたりはしますけれども,物件の所在地はまったくの平地であります。
 しかも真ん中の部分だけが斜めであるというのはいったいどういう理由成因があるのか。ひょっとしたらこれは意図されたアートなんであろうか,という疑念も持たれてしまうんでした。地味なアートではありますが。

 しかしなんだか,この「ズレ」の部分に手を当てるとズブリと中へ入ってしまって,そのまま身体を進めると向こうの異次元の世界へ行ってしまいそうであります。異次元の斜め世界。全てのモノが斜めになっている世界。すぐに「斜め酔い」しそうでありますね。

 あるいは,我々一般の人間が知らないだけで,ブロック塀というのは本来このように斜めに組み上げられているものなんでありましょうか。斜めに組んだ後,あたかも平行に組んだかのように塗装を施していたりするのか。

 そして写真の物件の場合は,その塗装が一部はがれてしまって,ブロック塀の真実の姿「斜め組み」が見えてしまっているのかもしれないんでした。職人さん,手を抜いてしまったのか。

 職人さんをちょっと問い詰めてみると「い,いや。わしゃ,わしゃ知らん。何も知らんぞ! とっとと,とっとと帰ってくれ!」と狼狽するかもしれないので,近所にブロック職人のいる方は試してみましょう。
 また,自分の家のブロック塀をこすってみるのもいいかもしれないでありますね。「ナナメ層」が出てくるかもしれない。

 んー。この真実を公にしてしまうと,世界のブロック塀を支配する闇の組織「ブロックデビル団」に命を狙われてしまうかもしれない。世界のブロック塀を支配するとどんな得があるのか知りませんけれども。
 これを読んだみなさんもブロックデビル団に目をつけられないように気をつけておきましょう。

「斜めブロック」は新潟市中央区・沼垂西1あたり。

※「ブロックデビル団」は,もちろん私の妄想の産物であります。狙われることはないので大丈夫です。たぶん。
 また,近所の職人さんを問い詰めたり自宅のブロック塀をこすったりするというのもやめておきましょう。