順序物件
順序物件
交差点に掲げられた大きなカンバン。「交通安全のため,信号を守りましょう」ということを言いたいのであろうことは,文字を読まずとも目に入ってきたイメージでもって理解できるわけでした。そういう意味では,カンバンとして申し分のない働きをしている,立派なカンバンなんでした。
が,しかし,書かれている文章を実際に読んでみると,なんだかちょっとおかしな感じがしてきてしまうわけでした。
「赤危険 黄色まだまだ 青待とう」
赤信号での横断は確かに危険であり,青になるまで待つのは当然であって,この辺にとりあえず異論はないんでした。しかし,黄色はどうなのか。「黄色まだまだ」というのはどういう状況なんでありましょうか。
文脈的に考えると「黄色ではまだまだ危険なので,青になるまで待とう」ということになると思われるわけですけれども,信号というのはそういう風に変わるものなのかどうか。
一般的な交通信号というのは「青→黄→赤→青→」と変わっていくような気がするわけですけれども,このカンバンであらわされる信号はどうやら「赤→黄→青→赤→」という順序で変わっていくようなんでした。
つまりは,この辺の信号は
赤:危険なので渡れない→ 黄:徐々に安全になってきているが警戒が必要→ 青:安全→ 赤:危険
という変化をしていくわけで,安全からいきなり危険に変移するという,スリリングな交通ルールを持つ地域であるようなんでした。
あるいは,これは我々がついやってしまいがちな判断を戒めているのかもしれないでありますね。実はこの「黄色」というのだけは正面の信号ではなく,横の信号なのかもしれないんでした。
すなわち,我々は正面の信号が赤であるとき,横の信号を見て「横が黄色になったから,正面がもうすぐ青になるぞ」と考えて準備したりするわけですけれども「そういうせっかちな判断は危険である,正面が青になるまでゆっくり待ちなさい」と言っているのかもしれないわけでした。
もうひとつヘンクツな考え方。
赤:危険なので渡ってはいけません。
黄:まだまだ渡ってはいけません。
青:そこでそのまま待ちましょう。
ということで,この信号に従っていると,いつまでたっても横断することができないんでした。
オマケ。こちらは
「交差点 よく見る 止まる 徐行する」
ということなんでした。
これも順序としては
「徐行してから,きちんと止まった上で,周囲をよく見る」
が正しいんではないかと最初思ったわけですけれども,
「交差点の状況をよく見た上で,停止線で止まり,交差点内は徐行する」
ということでこれは正しいのかなとも思ったわけでした。
なんだか運転免許の筆記試験ででてきそうな問題であります。
写真を撮ったとき私は歩いていたわけですけれども,運転中にこれを見てあれこれ考えてしまっていたら事故を起こしそうであります。全国十万人の路上観察者のみなさん,くれぐれも注意いたしましょう。
そんなにいないか。
「黄色まだまだ」は新潟市西蒲区・巻甲あたり。
「よく見る」は新潟市中央区・古町通13あたり。