戦略物件

　ハリガミ系物件の御三家というのは，「ゴミ捨て」「犬の糞」「駐車場」であろうと思われるんでした。

　逆に言うとこれらは街の三大迷惑であるわけで，迷惑をこうむる人の魂の叫びあるいはその人柄というのが反映されるがゆえに様々な表現となり，物件となりやすいと考えられるわけでした。

　そんなわけで，上の写真。「無断駐車は１万円戴きます。違反者通報の方は１／２差し上げます。」とのことなんでした。
　無断駐車に罰金を科すというのはたいがいの無断駐車ハリガミには書かれていることでありますけれども，密告者にその一部を与えるというのは，ちょっと新しい感じがするわけでした。

　しかし，密告をするためには現在どういう車がこの駐車場と契約をしているのか把握していないといけないんでありますね。
　だから実際に密告をするという人が存在するのかどうかはわからないですけれども，無断駐車を企てている側からすると「ひょっとしたら金目当てのヤツの目がどこかで光っているかもしれない」と思って断念する可能性は大いにありそうなんでした。

　してみると，戦略としては成功しているような感じがするでありますね。しかし，１ヶ月の駐車料金が４５００円で密告すると５０００円もらえるというのは，頭のいい人が考えるとなにか詐欺的な犯罪が生まれそうな気がしないでもないんでした。私は頭わるいんで考えつきませんけれども。

　こちらは某医院の駐車場で，基本的に来院者について無料の駐車場であろうと思われるんでした。
　ちょっと字が小さくて見えづらいですけれども，いわく「無断駐車は不審車として車体番号などを警察に伝達してあります。盗難事故や何かの事件発生の時は問い合わせ等あるかも知れませんがご了承下さい」とのことなんでした。

　これは直接的に「無断駐車を禁止する」とは書いていなくて，なんというかここの院長先生が「んー。いや，まあ，ね，別に，場所があいてれば患者さんでなくてもここに駐車するについてはやぶさかなことはね，言わないんだけどもね，一応，無断かなーっていう車についてはね，何があるかわかんないから，車体番号を警察に伝達するようにね，してるんでね，あとから困るのは自分たちかなーってね，思うから，無断駐車はね，しない方がいいかなー，と，いう気がするんだな，ぼかぁ。」と言ってるような感じがするんでした。しないか？

　こちらもつまりは「警察に届けるぞ」という脅しをかけているわけですけれども，戦略として非常に婉曲な表現を用いていて，オブラートに包まれているような感じなんでした。さすが医院であります。外科医院でオブラート使うのかどうか知りませんけれども。

　結局「無断駐車をするな」という同じことを言おうとしているのに，書く人によって様々な表現に変化するというのが，ハリガミの面白いところなんでありました。

「１／２」は白根市・上下諏訪木あたり。
「オブラート」は新潟市・沼垂東２あたり。
もちろん，白根市はすでに新潟市に以下略。