曲線物件

曲線物件


 ブロック塀というのは通常まっすぐであって,角は直角になっているのが普通なわけですけれども,こちらのブロック塀は見事な曲面を描いているんでした。ここを通ったときには思わず「おお」と小さな声が出たほどであります。

 もちろんブロックの面ひとつひとつはまっすぐだと思われるわけですが,徐々に角度をつけることによって曲面としているんでした。曲がりきったところでもう疲れちゃったのか,そこでブロックは終わっていますけれども。

 手前から奥へのびる,蓋をかぶせられた側溝だか川だかも曲線を描いていて,これにブロックをあわせたのかはたまた逆なのかはわからないですけれども,合わせてひとつのゲージツのような風景になっているわけでした。


 こちらは,物干竿をかける支柱であります。これ,何ていえばいいのか。物干し台…というのは違うし,物干柱もヘンだし。まぁいいや,とりあえず物干柱ということで。

 で,その物干柱ですけれども,もうみんなグンニャリと曲がっていて,もはや竿をかけることはできないであろうと思われるんでした。

 しかし,いったい何をかけたらこんなになってしまうんでありましょうか。そんなに重い洗濯物というのが存在するのかどうか。柱が曲がる前に竿は折れなかったのか。洗濯物をかけるお母さんの腕は大丈夫だったのか。洗濯機は無事なのか。そんなことを色々考えてしまうでありますね。考えませんか。そうですか。

 もう使い物にならない物干柱を後生大事にとってあるというのもナゾであります。何か使いみちがあるんでありましょうか。
 あるいは,

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こんな顔で眠っている4兄弟を想像してしまって,捨てられないんでありましょうか。


 これはまぁ曲線というか,Uターンの矢印であります。おかしなところは全然ないわけですけれども,棺をのせた霊柩車の運転手がこのカンバンを見て「あー,しまった。こっちじゃないや。逆,逆。」なんて言ってあたふたしているところを想像すると,ちょっと微笑まし…くもないか。

 むしろ,これは「火葬場へ戻れ」と言われているようで,生焼けのまま迷い出てしまった人への警告であるととらえると,ちょっとホラーであります。

「曲ブロック」は津川町・中町あたり。
「曲物干」は津川町・田町あたり。
「曲火葬場」は津川町・田町あたり。