コウソク物件

コウソク物件


 某薬屋さんの入り口付近であります。薬屋さんのハリガミというのは面白いものが多くて,ハリガミ系物件の宝庫であったりするんでした。

 最近は医院付属の調剤薬局みたいなところが増えていて,そういうところはあんまり面白くないですけれども個人経営の薬屋さんなんかはまだまだ元気なようであります。
 まぁ,あんまり凝りすぎてウケをねらってしまうと面白みが薄れてしまう場合もありますけれども。

 ということで,この薬屋さん,ウインドウにびっしりと黄色い紙が貼られていて,何が書いてあるのかと近づいてみるとこのようになっているんでした。


 それはもう,スキマができぬほどにびっしりと「心筋梗塞 脳梗塞」「心筋梗塞 脳梗塞」「心筋梗塞 脳梗塞」なんでした。
 なんだかリズムが「食う寝るところに住むところ」「やぶらこうじ ぶらこうじ」みたいであります。それはともかく。

 この店先に立つと,それだけで心筋梗塞か脳梗塞になってしまう,いや,ならなければならない,ぜひならせてください,というような気持ちになってきてしまうわけでした。ならないか。

 まぁもちろん,これは道行く人を心筋梗塞脳梗塞にしてしまおうというんではなくて,何かそれに効くあるいは予防となる薬を売ってますよということだと思われるわけですけれども。

 しかしここまでやってしまうと,客としてはちょっと店に入りづらいんではあるまいかと,いらん心配をしてしまうでありますね。
 そしてやはりこのお店に入ったとたんに心筋や脳が梗塞してしまうんではあるまいかとも,思ってしまうわけでした。

 それにしても,なんだか「梗塞」というのは響きがコワい,というか,字面がコワいような気がするでありますね。
「脳コーソク」とか「心筋コーソク」とカタカナにするとちょっとノーテンキな感じがしてなにやら楽しそうだから,やはり響きというよりは字面の問題か。

「脳高速」だとなんだかアタマがよさそうな気がするし。「心筋高速」だと元気ハツラツなような気が…あんまりしないか。脈がバクバクして,ちょっと疲れそう。

 動物の心臓が一生の間に脈打つ回数は決まっているとかよく言われるけれども,「心筋高速」だと早く一生を終えてしまうことになるかもしれない。「心筋光速」だと,生まれてすぐに一生を終えそうであるなぁ。

 そして関係ないけれども,手前にある「すごく効く精力剤」のカンバンもいい味がでております。特に下の絵。使用前の「♂」のふにゃふにゃ加減がなんとも。
 まぁなにはともあれ,「心筋梗塞脳梗塞」よりも「すごく効く」の方を気にしながら生きていける方がシアワセなような気がしたりするでありますね。

「心筋梗塞脳梗塞」は阿賀野市・中央町1あたり。