五分刈り物件

五分刈り物件


 ヒット&アウェイとかキック&ランとかヒロシ&キーボーとか,「&」を使う場合は違う意味の単語を使う場合が多いのだけれども,この床屋さんでは「カット&カット」が売りになっているんでした。

 「カット&パーマ」というのはよく見るけれども,この床屋さんではとにかく「カット&カット」。切って切って切りまくるわけで,調髪メニューには五分刈りと五厘刈りしかないと思われるのでした。

 店の中では,両手のハサミを常にジャキジャキ言わせている主人が鎖につながれていて,息を荒げながら「カット〜。カット〜」とつぶやいているのかもしれない。お客が来るとおかみさんが主人の鎖をはずし,自由になった主人はダッシュでお客に向かって,5秒とかからずに五分刈りを完成させるのかもしれないのでした。