ルビ物件

ルビ物件


 さて,この日本料理屋さんはなんという名前のお店なのか。ということなのでした。
 単純に上から読むと「お於熊」となっていて,しかも下に行くほど字が大きくなっているわけで,判読にしばし時間がかかるのでした。
 で,周りを見まわすとこれとは別の看板がでていて,そこにはただ「於熊」と書かれてあることから,「お」というのは「於」の振り仮名であることがわかるのでした。

 やはりこの看板を作る時にはそれなりの経緯があったのだろうなぁ,と思うわけです。店の名前は「於熊」だから,これを作る時には漢字2文字分のスペースをとっていたんだけれども,書く寸前になってから誰かが「これじゃ,店の名前読めねーよ」とか言ったんですね。それで振り仮名をつける関係上「於」が小さくなってしまったと。
 でも,出来上がってみるとまだなんか違和感がある。よくよく考えてみたら「縦書きの場合,振り仮名って横につけるんじゃないの?」と気付いたんだけれども後の祭りで,従業員一同頭を抱えてしまったんではないかと,勝手な想像をしてしまうのでした。