律義物件

律義物件


 あるお宅の玄関先の階段なわけですが,ちょうどそこにマンホールがあったのでした。人が入るような大きさじゃないんでマンホールとは言わんでしょうけど,言いやすいんでマンホール。
 で,このうちの人は階段をこのように作ってしまったのでした。様子からして階段の方が後から作られているんで,階段を削ったわけではないのでした。このような形に作った。家主の頑固さと職人の律義さが出ているのでした。
 いや,家主は頑固じゃなかったかもしれない。「マンホールあるけど,適当にやっといてよ」くらいに言ったのかもしれないけど,職人の方は「いえ,あっしにも美学ってぇもんがありまさぁね。ここは手間賃余計にはいただきやせんから,あっしの思うようにやらせておくんなさいよ」なんて言って作ったのかもしれないのでした。この職人は江戸っ子なのか?