漢文物件

漢文物件

 

 看板とか貼り紙というのは,特に用事があるとき以外,通常じっくりと読んだりはしないものです。それには色々な理由があるわけですが,その看板がある場所と文字の一部が見えると,だいたいの意味がわかってしまう,ということも理由のひとつなんですね。
 壁に貼り紙がしてあって「小便」という文字があれば「ここで小便をするな!」ということだと,即座に判断してしまう。本当は「ここは小便をする場所です」と書いてあったとしても,そうは読まないわけです。それ以前に,目には入れていても意識には入れないことの方が多いでしょう。
 実は私もこの「人石垣侵入車敵」を目にしても,即座に反応できなかったんですね。この看板(?)は駐車場の入り口にあるんですが,「侵入」という文字だけで「契約者以外の車は入ってくるな」と言う意味に無意識にとっていたんだと思われます。で,3歩ほど通り過ぎてから何か頭にひっかかって戻ってくると写真のような,じっくり見れば見るほど意味のわからなくなるようなことが書いてあったのでした。
 「専有地ニ付キ…」のハリガミもすぐそばにあって,同じ人の手によるものではないかと思われるわけですが,こちらは一応日本語になってます。なってるんですが,「ニ」や「キ」の付け方が漢文のレ点を思わせるのでした。