青空物件

青空物件


 いやホントに何の変哲もない単なる駐車場だし,ハリガミにおかしなことが書いてあるとかいうことでは全然ないんですが。私の心の琴線に触れるものがあったわけなのでした。
 実はこの写真を撮った時点でもそれがなんなのかわからないままで撮っていたわけで,今この写真を見て文章を書こうとしたところで「ああそういうことか」と思ったりしているのでした。

 この屋根のない駐車場には空(そら)があるのだと,そこまではネタとして頭にあったのだけれど,この手の物件は他にもたくさんあったはずで,それがなぜこの物件に特にひかれたのか。それは,「空あり」の上にある青い看板のせいなのでした。青い看板はそのまま青空をイメージさせ,文字として「空あり」でダメを押している。
 当然カンバンを立てた人にはそんな意識はないし,そんな意味のないことをするはずもないのだけれども,その中から無理矢理意味を引っ張り出してしまう路上観察者という種類の人間がいたりするのでした。いや意味というより自分の感性を引っ張り出しているだけか。

 その辺の,何の変哲もないところから感性を引っ張り出したりする辺りが「わびさび」とか俳句とかと通じるところなのかなぁ,などと思ったりする今日このごろなのでした。