デモンベインに昇華される
デモンベインに昇華される


<体験版編>

 いやもう,やられてしまいましたさ。
 何にと言って,デモンベインに。
 もう,渇かず飢えず無に帰ってしまいましたね。すなわち昇華されてしまいました。

 なんてことを言っても,このページを訪れる人でそれが何のことやらわかる人も少ないとは思いますけれども。
 実は「デモンベイン」というのは,パソコンゲームのタイトルなんでありました。正確には「斬魔大聖デモンベイン」(ニトロプラス)。それも,カテゴリー分けするならば「18禁美少女ゲーム」ということになるシロモノ。それにもう,どっぷりハマってしまったと,そういうことなんでした。

 正直言ってというか実際の話,私は今までその手のゲームというのはやったことがなかったんでした。まぁ私もカワイイものは好きだし,まったく興味がないというわけでもないのだけれども,1万円近いあるいはそれ以上のお金を出してまで買うようなものかと。そう思っていたわけでありますね。いや今でもちょっとそう思ってはいるんですが。
 もちろん,これは私にとっては,ということであって,価値観というのは人それぞれであります。ゴッホの絵も,興味のない人にとってはただのラクガキだろうし。それはさておき。

 それが,ひょんなこと(雨で路上に出ることもできず内職もない休日に,雑誌の整理でもしようかと手にもったパソコン雑誌に未開封の付録CD-ROMがまだ付いていて整理しにくかったので開封してみたらちょっと試してみたくなった。ヒマだし)からその「斬魔大聖デモンベイン」の体験版をやってしまったのが運のツキ。2003年6月の1ヶ月間,18禁ゲーム・デモンベインに付き合うことになってしまったんでした。

 そう,まずはその体験版でハマってしまったわけでありますね。私は自分のパソコンにゲームの体験版なんかをインストールするということもまずほとんどないのだけれども,それをやってしまったというのはやはり運命なのか。輪廻なのか。
 まぁ,雑誌による「デモンベイン」の説明が,「荒唐無稽スーパーロボットADV」であったというのもあるかもしれない。男の子にとっては「ロボットもの」というのはツボをつくものだし。「荒唐無稽」好きだし。18禁でロボットものというのはどういうものかとも思ったし。

 で,インストールを終えてプレイしてみると,これがスゴイ。
 こちらとしてはやはり体験版とはいえ18禁ゲームをやってるわけだからそういった描写がいつでてくるのかとちょっとドキドキしながらやっていて,確かにフリフリの美少女が空から落ちてきて倒れてパンチラだったり教会のシスターのちちがやたらとデカかったりしていやそれはデカすぎだろうと思ったり財閥のお姫様が出てきてこれもまた童顔ながらデカいなと思ったりするのだけれども,あんまりエロという感じはない。
 それどころか,テンポよく白熱していくストーリーと戦いに引き込まれていって,いつの間にやら2時間近くが過ぎる。体験版なんていうのは15分かそこらで終わるものだと思ってたのに。そして,ついにえっちなシーンはまったくなし。

 でももう,そんなえっちシーンなんてのはどうでもよくなっていて,ストーリーの続きが気になってしょうがなくなっていたんでした。もうすっかり罠にハメられている。
 それでもまぁそんな高いお金(定価8800円)を出してしかもパソコンショップでもあんまり入り込みたくない「エロソフト売り場」へ行かなければならないということを考えるとためらってしまうところなんだけれども,体験版終了後に見たデモムービーでまた,やられてしまったんでした。

 これが,カッコイイ。あんまり手の込んだゲームはやったことのない私にとってはこのレベルというのがどの程度のものなのかというのがよくわからんのだけれども,3Dグラフィック(だよな)で動く巨大ロボット,デモンベインはやはりスゴイものだったんでした。
 それにもまして私をシビれさせたのが,ムービー中に挿入されるテキスト。

「もしもね。
 未来を知ることが出来て、
 それでどんなに必死に戦ったって、
 誰も救えない、
 救われない。
 全部無駄なことだって分かったら
 どうする?
 それでもまだ戦える?」

 これはもう,ツボですね。
 この時点ではこのテキストがどういう意味を持つものなのかというのはわからないのだけれども,それでも戦うのがヒーローであるというのはもちろんのことなのであって,さらにそれを覆すのがヒーローであろうと。男の子であればこれで燃えなければウソであろうと思われるんでした。
 ちなみにそのデモムービーは,こちらから入手可能。少しでも興味がわいたなら覗いてみるべし。とりあえず18歳以上だけね。

 そんなわけで,購入を決意。まぁ,金がないわけではないのだ。
 でも発売日からけっこう時間が経っているようだし,モノはあるのかどうか。そしてさらに,あのエロソフト売り場で探し物をするというのもどうもナンだし,店員に聞くのもなんかアレだし。会社帰りに一度ソフマップのエロ売り場へ踏み込んでみたんだけれども,やっぱりアレだったんでした。
 ひとりであそこに居るのは2分が限界。我ながら小心者であるなぁ。別に悪いコトしてるわけじゃ全然ないのに。

 ということで,通販を利用することに。こういうときネット社会は便利であるな。
 発売元に直接注文することもできたようなのだけれども,たまたま見たソフマップのページに在庫があったので,結局ソフマップを利用することに。一応ソフマップ会員でもあるから手続きも楽だろうしカード決済もできるということで。

 そして,注文の2日後,いよいよ「斬魔大聖デモンベイン」が手元に。無垢なる刃がやってきたわけなんでした。


 つづく。(たぶん)


***


 いや実際,これだけハマるとは思わなかった。私は少なくとも今はゲーマーではないけれども,最初にパソコン(FM−7)に手を染めたときは狂ったようにゲームをしていたこともある。そもそも,パソコンが欲しいと思ったのは,何かの雑誌に出ていた「アドベンチャーゲーム」というのをやりたいと思ったからでもあった。

 当時それこそ1万円以上したアドベンチャーゲームも,今から見れば中学生の作品レベルみたいなものだったわけだけれども,もちろん,そのときはそのときなりに夢中になっていたし,面白かった。そのゲームをやっている時間が,終わらなければいいと思った。そのころの感じを,「デモンベイン」は思い出させてくれたような気がする。
 私はあんまりゲームもしないしアニメやら特撮やらも観ないし何かのコレクターでもないけれども,そういうなんというかオタク的素養はあるのだろうな。

 正直,この「デモンベイン」をやっていた時期というのはなんやらかんやら忙しいときだった。そんな時間のかかるゲームをやってるヒマもなかったのだけれども,それでも睡眠時間を削ってまでやっていたわけで,こういうのは私としては非常に稀なこと。

 それほどまでにハマった「デモンベイン」。18歳以上で,えっち描写が気にならないという方は,ぜひやってみることをおすすめする。
 それでもやはり好き嫌いというのはあると思うけれども,先の「もしもね。未来を〜」というあたりに感じるところのある人であれば,楽しめること,熱くなれること間違いなし。プレイするのに膨大な時間はかかるけれども。普通にやっていけば50時間くらいはかかる。

 …その時間のかかるゲームを,また初めからやり直したくなってきている。これが魔導書,アル・アジフの魔力であるか…。

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