マグナブローバック・ベビールガー


 昔々、未だGun誌に永田一郎がレポーターとして在籍していた頃に非常に美しいルガーのレポートが掲載されたことがあります。
 それはアメリカのルガーチューナー「ジョン・マーツ」氏が製作したベビールガーでした。氏はその他にも、.45のP-08やP-38、ルガーカービンなど非常に美しい銃を製作していました。
 その中でも私の目を引いたのが「ベビールガー」です。




 1.初めに・・・。
 タナカのP-08をベースに銃身切り詰めとフレームの切り詰めなどが主な加工になります。
 基本的なメカニズムには手を入れないのでいつもの「短小モデル」の製作と同じ様な感じになります。
 しかしながらバレルは微妙なテーパーが掛かっていたり、フレームもグリップ後部下側のストック取り付けラグがなかったりと、少々面倒な(決して難しくはありません)加工がありますので慎重に作業を進めてみて下さい。



 2.バレルAssyの改造
 バレル部分の構成です。
 写真のようにバレルを約2インチに詰めて、バレル部分のテーパーを上手く表現できればOKです。
 ブリーチや、マグナブローバックのエンジン部分には全く手を付けていません。又バレルスプリング以外のスプリングも一切手を付けずに動きました。
 アウターバレルは私の場合、銃口から2.1cmでCutした物と、レシーバーの前端から1.5cmでCutしたものを繋げました。
 ここも慎重に軸線が出るように注意して接着して下さい。ここで軸線が上手く出ていないとこの後のバレルのテーパーを削り出すときに非常に苦労いたします。
 さて上手く付いたら、当然つなぎ目には段差が出来るわけですが、ひたすら削っては盛り削っては盛りの繰り返しで自分の好きな形のテーパーに仕上げて行きます。
 旋盤などの機械加工では出来ない部分なのでひたすら自分の目と勘を信じて丁寧に作業して行きましょう。
 私は全て目分量にてテーパーの加工を終わらせましたが、本来はプラ板か何かで定規みたいな物(治具ですね)を製作して削った方が早いかも知れません。
 それから、集中してヤスリ掛けをしていると他の部分に目が行かなくなって気づいたら「アッチャ〜〜」と言うことに成りかねません。フロントサイトのエッジやレシーバーとの接合部分のエッジを丸めてしまわないように注意が必要です。
 インナーバレルは本当に短く、少々ビビリますが取りあえずちょん切って下さい。その時にチャンバーの先端がアウターバレル内部の段差(その段差にバレルスプリングが掛かります。)に当たってインナーバレルが奥まで入らなくなります。
 そこでチャンバー先端を8mm程度切り取って下さい。この程度で有れば全く問題有りません。
 又バレルスプリングは写真のように全長で5巻程度にCutします。これでも十分の働きをするようです。



3.フレームの加工
 適当なところで取りあえず切り飛ばしましょう。切ってしまったらその接合面を成るべく平らに成形して上げて下さい。それから接合するときには中の全てのパーツを取り外して下さい。
 瞬間接着剤等がメカ部に流れ込むと大変なことになります。
 準備が整ったら接着です。一番良いのはマガジンを治具にして接着する方法でしょう。特にルガーはマガジンの脱着が堅いので信用しても良いみたいです。
 もし曲がってくっ付いてしまったらもう一度切り放してしまえばいいのですから思い切って、でも慎重に作業を進めましょう。
 十分に乾燥させた後、接合部分の隙間にプラリペアを流して強度を出します。瞬間接着剤だけではどうしても不安なので私は両方使って接着するようにしています。
 ここで歪みがないことを確認して、フレームの内側外側をヤスリなどで仕上げて行きます。そんなに難しい形ではないので接合面の仕上げは簡単に出来ると思います。
 左サイドの写真ではフレームの肉抜き穴上部がプラリペアでぐちゃぐちゃになっていますがこれは私が仕上げるのを忘れたためです。
 ハイグレードな仕上がりだった実銃を意識して普段やらない肉抜き穴の成形までしようと思ったのですが、忘れてしまいました。
 今回は乾燥時間を割と取ったのとプラリペアの粉材を多く混合したせいか余り引けが目立ちませんでした。
 ベビールガーはストックを取り付けるためのラグがありませんのでプラリペアで思いっきり埋めて独特なまぁるいラインになるように削りだします。
 この時注意したいのが左右のRを同じにさせることです。両方をバランス良く見てRが偏らないように注意してヤスって下さい。
 光の当たり方でも左右違って見えることがありますのでチェックするときの光の方向も一方向ばかりでなく色々と向きを変えてチェックして下さい。
 又友人などにチェックして貰うのもいい方法です。



 4.グリップの加工
 今回グリップは非常に悩んだのですが結局グリップの中心部分で切断して詰めることになりました。
 ルガーのようにグリップの上下が膨らんでいるタイプの物でしかも全面チェッカーの物は非常に困りますね。
 やはり木グリの製作も考えたのですがこれはもう少し時間が掛かりそうです。
 と言うわけで強引にグリップを切断して接合しました。
 そこで問題なのがグリップ全面にわたって施されているチェッカーなのですが今回はチェッカーを繋げました。
 接合面のチェッカリングを丁度ピッチの合うようにして接着。その後プラリペアで接合面を埋めた後に、三角ヤスリでチェッカリングを繋げました。
 ピッチ合わせが上手く言ったせいか遠目にはみるとそう違和感無く見えます。
 写真のグリップには薄くパーカーシールを吹いた後粗めのヤスリで削っただけの塗装なので、良くご覧になると接合面がばれてしまうかも知れません。
 今度しっかり木調に塗装してみようと思っています。
 裏側には補強のために盛りつけたプラリペアがそのまま見えていますね・・・。


 5.マガジン
 マガジンは下部を切断しただけです。ただ内部のパイプも1cmほど切断してやらないとガスが十分に入らなくなります。
 ルガーの場合も結構簡単に長さを詰めることが出来ました。これと言った注意点はないですが、切断時のバリを完全に取り除いてから組立に入りましょう。バリがあると組立時に気密のためのゴムリングが傷つきマガジンエンドからのガス漏れの原因になります。


 6.完成・実射
 全体の塗装は今回「パーカーシール」にて行いました。でもなんかメタルパーカーの方が高級感があったように思ってきたので今度塗装のみやり直そうと思っています。
 極端に短いバレルでの実射性能ですが、これが予想を裏切るほどきちんと飛びます。HOP調整を上手にやれば20m先の人をHITするのは難しくないです。
 大きさはデトニクスや、PPK/Sと殆ど同じでこの流麗なデザイン。バックアップ用でもメインでも使える奴になりました。
 そういえば私は12年以上前にも同じ様な改造をしていました。その時のベースはマルゼンのライブカートコッキング式エアガンP-08でした。確かストックのラグの撤去や、フレーム高の短縮までは出来ずに単純にバレルを切っただけでしたが、それを思うと何か進歩していない自分が嫌になると言うか思考が変わらないと言うか・・・・。
 そんなことを思いながら製作しました。


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